森鴎外の夏目漱石論

夏目漱石

一、今日の地位に至れる径路政略と云うようなものがあるかどうだか知らない。
漱石君が今の地位は、彼の地位としては、
低きに過ぎても高きに過ぎないことは明白である。
然れば今の地位に漱石君がすわるには、
何の政策を弄するにも及ばなかったと信ずる。

二、社交上の漱石
二度ばかり逢ったばかりであるが、立派な紳士であると思う。
(森鴎外)